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第1回
なぜいま「家」なのか

第2回
リビング、子ども部屋の問題

第3回
夫婦の寝室を立派に

第4回
情報処理の場となった「家」

第5回
家づくりは家族の絶好のテーマ

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(2/全5回) 2000.11.28

【第2回 リビング、子ども部屋の問題】
―― 次の質問として、現状の家の問題点に関して教えてください。

藤原智美 家のつくり方の手順を空間で分けていくと、まずリビングから発想する人が多いんですね。次に子ども部屋なんです。三番目ぐらいにキッチン、水回りがくる。こういう順序なのですが、やっぱりリビング中心主義なんですね。

 これはよく分かることですね。先ほど述べたように、家族関係にはもはや抽象的な人間関係しかないとすると、その人間関係が取り結ばれるのはリビングであるということですね。だから、リビングをまずどうしようかと考える。

 ところが、例えばあるハウスメーカーのアンケートでは、新築して1年以内に 一組でもゲストを呼んで、食事をしたことがあるかという問いに、「した」と答えたのは半分以下なんです。つまり新築でそれぐらいだから、実はお客さんをまず呼ばないわけです。

―― そうでしょうね。

藤原 それにもかかわらず、ゲストも呼べるような雰囲気でつくるわけですね。そこに何があるかといえば、幻想というか、夢とかイメージなわけです。
 自分たちの家族の等身大な暮らしから発想していない。

 だから、豪華なリビングをつくって、結局家の中で一番広くてお金がかかるところがほとんど使われていないということになる。幻想が先にあってつくられているために、家族の団欒の場としても、ほとんど機能していない。ここにはやっぱり問題点がわかりやすく出ていますよね。

―― 一番いい場所が使われていない。子どもは自分の部屋が一番好き、というのは非常に皮肉なことですね。

藤原 おそらくこういうことだと思うんですよ。かつて親の世代は、子どもの世代よりも知識も経験も豊富で、そのことがやはり子どもにとっては魅力になったんですよね。ところが、いまの時代はそうではなく、お父さん、お母さんがある意味で知識とか経験で子どもを魅了できない時代ですね。

 その一つが情報社会だと思いますけれども。情報社会だITだと言われて、「会社の中が大きく変わっている」と言われるけれども、僕は情報化の一番大きな変化はどこに現れるかというと、家の中だと思うんですね。

―― たしかにそうかもしれないですね。ご著書の中に、携帯電話が鳴ることで家族団欒の食事が台無しになるケースが描かれていましたが。iモードを開発した人が、これは何で成功したかといえば「家族みんなが使えるものだからだ」と述べていましたが、実際は家族を壊したのかもしれない。

藤原 そうそう。

―― あと子ども部屋についての問題点はいかがでしょうか。

藤原 これは子ども部屋が要るという人と、必要ないという人と、議論が分かれるところなのですが。僕は要ると思うんです。いまの子どもは、家から出て学校に行くと、猛烈な競争原理の中にたたき込まれているわけですね。これは「個人」として戦うしかないんです。それと、もう一つは「個性的であれ」っていわれるんですね。

―― そうですね。

藤原 つまり個を磨かないといけない。そして個をどこで磨くかというと、個室なんですよ、やっぱり。個室に入って内省して創造力をつけていって、それで集中して勉強なりなんなりをやる。そのことによって初めて個は成長していくんです。これが現代社会なんですよ。

 かつてとは違うんですね、求められていることが。だから、僕は個室がいると思うんです。ただ、それに閉じこもるから問題だと言われるわけですが。

―― そうなんですね。

藤原 じゃあ、閉じこもるのが問題だから、ドアをなくせば閉じこもらないのかということです。つまり閉じこもるというのは、物理的に閉じこもる問題以上に、人間関係なんですね。人間関係の壁なり、ストレスといった問題がそこにあるわけです。それが見えていないのではないでしょうか。

 ドアをこじ開けたら子どもの心が分かるかというと、分からないんですよね。だから、子ども部屋を悪玉にしたてて無くせばいいという議論は、僕はちょっと違うなと思います。

 結局親子関係というのは、はっきりいうと権力闘争だと思うのです。親と子のね。常にそういうシーンがあるわけですよ。いつか親が負けるわけです。それで子どもは自立して出ていく。ところが、子ども部屋を与える時に、その権力闘争の中で負けて与えると最悪なわけですね。

―― ああ、そうですね。まさに家族が崩壊してしまうわけですね、その時に。

藤原 だから、子どもがまだずっと小さい頃に部屋を与えることが大切だと思います。3歳の子どもに「この部屋は君の部屋だけど、こう使いなさい」「お母さんが来たらすぐ開けなさい、閉じこもってはいけません」とずっと言っていくわけですよね。

―― 小さい時から教育していくわけですね。

藤原 刷り込んでいくわけです。3歳の子どもはさすがに権力闘争に勝てないわけですから。そうすると、勝って与えることになるわけです。そういうシビアな与え方をしないで、ルーズに与えると失敗することが多いという気がしますね。

―― 日本ではとにかく与えるのが遅過ぎるんじゃないかということは、ご著書の中でもおっしゃっていますね。欧米では3歳や 5歳の時から与えると。

(第2回 終)

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