【第6回 GE7つの強さ(ポイント6、7)】
■ポイント6 変革のためのリーダーシップ
企業活動で重要なことは主体性である。最近は「IT革命」が経営の世界で流行語となっている。ITを使えば経営の諸問題が解決される、そのような議論が数多く行われている。
しかし「ITが経営を変える」のではない。変革の意志をもったリーダーがITを使って経営を変えるのである。何事にも主体性を欠いた議論を行ってはいけない。
変革で成功を収めるために不可欠なのはリーダーシップである。リーダーの使命とは組織のメンバーを未来に導くことである。またリーダーは孤立してはありえない。人々がフォローしない限り、リーダーではありえない。
GEは常にこのようなリーダーの育成に努めている。そのための仕組みが「セッションC」であり、世界で最も充実した教育トレーニング、積極的なローテーションである。ローテーションは日本企業のように業務一般知識を積むために行われるのではなく、さまざまな職場で試練を克服していく中で、リーダーシップのコンピテンシー(行動能力)の育成を図るために行われる。
ところでGEの育てるリーダーと、日本企業の多くが育てるリーダーとでは決定的に異なる点がある。日本企業が育てるのはドメイン・リーダーである。ある事業分野(ドメイン)に関して深い業務経験を持った人物がリーダーとなる場合が多い。
それに対してGEが育てるのはビジネス・リーダーである。特定の事業分野に関する深い知識というよりも、経営に関する深い知識を持つ人物をリーダーとする。そもそも、先に述べたようにGEはドメインを固定的にとらえてはいないから、特定のドメインに関してだけ深い知識を持っていても、GEではあまり活躍の舞台がないのである。
GEが積極的なローテーションを繰り返しながらリーダーを育成するのも、ドメインに固定しない能力をリーダーにつけること、さまざまな試練を克服する中で、とりわけ変革を促すことでリーダーに必須のコンピテンシーをつけることを目指しているからである。
■ポイント7 変革のためのツール
GEはリーダー、つまり自社のスーパースターを育成することに熱心である。しかし、組織のすべての人間がスーパースターなわけではない。そこで問題になるのは、いかにしてスーパースター以外の人も含めて組織全体のレベルアップを図るかということである。
そのための手段が経営ツールの開発である。
GEは経営ツールの開発も得意である。経営に役立つツールを開発し、それを組織のメンバーに使わせることによって、社員全体のレベルアップを図っている。業務を効率的に行う考え方、プロセス、ツールを提供すれば、たとえスーパースターでなくとも社員の業務処理能力は確実にアップするというのが、GEの考えである。
GEが開発したツールの中には、既に経営の基礎ツールとなっているものもある。たとえばSWOTである。SWOTとはStrengths、Weaknesses、Opportunities、Threatsの頭文字をとったもので、内部環境分析と外部環境分析を通じて自社の戦略的課題を明らかにするために使われるツールである。
GEの開発したツールはどれもシンプルで使いやすい。経営ツールというのは使いやすいものでなければ、多くの人が使うものとはならない。多くの人に使えなければ経営ツールとは言えない。かつてGE社内でのみ使っていたSWOTが、今や経営の基礎ツールとなっているように、今、GEがワークアウトやキャップを行うにあたって使っている経営ツールも、やがては他社も利用する経営の一般ツールとなることだろう。