21世紀初頭の国政選挙は、小泉首相の人気の高さもあって、多くの話題を提供していた。テレビのワイドショーが、連日首相をはじめ閣僚の動きを報道するのも、政治への関心を高めると期待されていた。
アンケート調査をすれば、「投票に行く」という返事が戻ってきた。投票率が60%を超えるだろうと多くの者が期待した。
しかし、蓋を開けてみれば、前回より低い56.44%。 有権者は小泉首相に寄せる期待と、自民党への不信の狭間で棄権をしたという意見もあるが、それは美しい誤解である。
国民の一人ひとりが、自分の力で国を何とかしたいという情熱がない、としかいいようがないのである。貴重な一票をどう使うかと悩むよりも、自宅で怠惰に過ごすかまたは遊びに出かける方を選んだのである。
もっとも、そういう仕打ちを受ける候補者にもそれ相応の責任がある。
『SAPIO』(7月25日号)で落合信彦氏が「タレント・サーカス選挙に踊る 参議院にこそ大リストラの鉄槌を下せ!」の中で、今回の選挙から導入された非拘束名簿式比例代表制に伴い、各政党がタレント候補を数多く擁立したことを批判している。
落合氏とは全く面識がないが、この件に関しては事前に相談でもしたかの如く、一言一句同意できる。私もかねてから、これは政治家が有権者をバカにしている証拠であり、声をかけられた候補者もまた使い捨てになるとも分らず、身のほど知らずにホイホイと応じている、と言っている。有権者が本当にバカであるかどうかは、開票結果をみればよい、とも言っている。
落合氏は、最後にこう締めくくっている「これ以上無能な人間を国会に送りこむのはもうやめよう。彼らタレント候補を全員落選させれば、いくら鈍感な政治家も目を覚ますだろう。だが逆に、彼らの多くが議員バッジを着けて赤絨毯の上を我が物顔で歩くようなことになったとしたら――この国は滅び行くスピードを加速度的に増すと言うことだけは断言できる。」
全く賛成だ。
投票から一夜あけて、当選者が出揃った(7月30日)。
朝日新聞7月27日の「かたえくぼ」で「『参院選挙公報』「あの人は今」特集か――オールドファン」と嗤われた候補者たちの多くは落選した。少々は救われる思いである。しかし、投票者が賢明だと喜ぶ結果には程遠い。
小泉首相は、自民党の救世主にはなったが、日本国の救世主にはなれるだろうか。
選挙が終わった今、投票率の低さと当選者のリストを前にして、またもや答えは出せないでいる。
追記:台湾の国政選挙は文字通り国の運命――ひいては国民一人一人の運命――がかかっているので、有権者は燃えに燃える。来る12月1日に行われる立法院選挙(国会議員選挙)の視察に有志を誘う計画をしている。詳細はそのうちホームページ(http://www6.ocn.ne.jp/~kinbirei/)で。