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第1回
一番の中心は憲法

第2回
論憲は3年、5年目には改正に着手を

第3回
首相公選制で国民に直結した首相を

第4回
新保守自由主義が中心となる価値観

第5回
日本の将来展望は明るい

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(5/全5回)
2001.03.28

【第5回 日本の将来展望は明るい】
福田和也 政治家でも財界の方でも、そういう危機感をあまりもっていない方がたくさんいらっしゃる。

中曾根康弘 「坂の上の雲」と司馬遼太郎君が言ったけれど、あのときには徳川の幕藩体制、つまり古い体制から新しい近代国民国家形成という大きな夢と構図をもって、吉田松陰でも佐久間象山でも、あるいは坂本竜馬でも、みんな現れたわけですよ。その前には、彼らは脱藩したわけだね。
 いま、われわれはここでそういう革新をやろうということです。第一の開国とマッカーサーの第二の開国、今度は第三の開国をやろう、と。

 その場合には幕藩体制から脱却しなけりゃ駄目ですよ。つまり、いまある既存の政治体系を壊して、新しい体系に移動する。そのためには、みんな同じイデーを持たなくてはいけない。そういう作業をやって、それで情勢によっては「脱藩作業」というか、分裂とか統合が出てくるわけです。
 それは愛国心、危機感から出てくるものであって、われわれに必要なものは危機感と愛国心ですよ。

福田 日本人はなかなか変わらないと言われますが、ペリー来航の嘉永6年から明治維新までは15年しかかかっていません。やるときには本当にダイナミックに変われると思うのです。そしてその嘉永6年の「ペリー来航」は、もう日本に来ているのでしょうか、それとも……。

中曾根 来つつありますね。それで国民の意識は変わってきている。というのは、日本人は島国に育ったから、非常に外への好奇心が強い。しかし外来文明を入れると、40〜50年で日本化していく。隋、唐文明を入れたら、紫式部が『源氏物語』を書くといったように、日本化してしまう。あるいは明治維新の後、プロシアの憲法を日本化した大日本帝国憲法をつくり、そして明治時代を築いた。要するに、和魂洋才と言うけれど、和魂で消化してしまうわけですね。

 今度はマッカーサー以来50年たって、ようやく同化力が出てきて、憲法を直そうという意識になってきた。いままではそんなことを言うと、まるで右翼かなにかに受けとられていましたが、いまや国民のほうが憲法改正は賛成が60%で、反対が30%。それは日本自体のそういう同化力、歴史的、民族的体質が出てきたと、そう思いますね。

 そうなったのはやはり、危機感を持ってきているからですね。政治家なんかよりも、国民のほうが危機感を持ってますよ。毎日、生活の危機を抱えているわけですからね。
 ですから、そういう同化力が歴史的に出てきたという意味では、私は非常に将来展望があると見ていますね。そのうちに政界も、国民のそういう同化力に準じて変わっていきますよ。

福田 国民の危機感とおっしゃいましたが、先ほど中曾根臨調の話も少しうかがったのですが、先生は国民の感覚とか危機感といったものを非常に鋭敏にすくっていらっしゃると思います。いま永田町でされている議論をみると、せいぜい参議院で5しか減らないだろうとか、株価がいくら下がってもといったように、かなり国民から遊離した鈍感な感じが支配していると思うのですが、政治家がそういう敏感さを持つにはどうしたらいいと思われますか。

中曾根 いままでの政治が、私に言わせれば、竹下流、あるいは田中流の政治で、臨床的な手当てに終わっていたということです。つまり縁故とか利益とか、そういうもので進められていった要素が非常に強い。

 先に挙げたイデー、理想とか、あるいは行動目標、思想で動いたというのは、系譜からいうと鳩山一郎さんがまずその元祖です。その跡を継いだのは岸さんですよ。その跡を継いできたのが三木さんと私じゃないかと思う。

 ところが、現実功利主義は吉田さんですよ。吉田さんをみんな褒めているけれど、あれはやはりイギリス流の功利主義に徹して、マッカーサーをうまく手玉にとったのはある程度評価するが、国内政治については駄目ですね。経済第一主義で、民族精神を堕落させた。

 その跡を継いだのが、いわゆる保守本流とか言っているのはおかしな話です。いま加藤君たちが保守本流争いをしているなんていうけれど、まったくあれは蝸牛角上の争いで、笑い話みたいなもんだろうと思いますね。

 吉田系統というのは、佐藤栄作さんでも池田勇人さんでも、あるいは福田さんでも田中さんでもそうだが、それがある意味において「列島改造的政治」というものだろうね。その列島改造的政治がまだずっと支配的だから、臨床的であったり、あるいは利益といったもので政治が動いているという性格がある。

 しかし、この危機を迎えてようやく、30代、40代の若手の代議士諸君は、われわれのような系統にいま変わりつつあると私はみている。これは非常にいいことだと思っています。

福田 いまのお話は本当に示唆的だったと思うのですけれども、やはり吉田、田中、竹下という方たちは一本つながっていて、それに対して鳩山、岸、中曾根先生というラインが本当に実体的に日本を変えようとしてきた。実際、何ほどか日本のグランドデザインを変えるようなことをしてきたわけです。ということになりますと、鳩山、岸、中曾根という線に沿う指導者がいつ出てくるかということがやはり問題なのでしょうね。

中曾根 それを念願していますがね。それを奨励もするし、そういう人を育てようと思っています。

福田 たとえばどなたであれば、その系譜を継げそうだと思っていらっしゃいますか。

中曾根 いや、人の名前を出すのはまだ弊害が多すぎるから(笑)、具体的な名前は出さないけれど、これならよさそうだというのはいますよ。

福田 そうですか。では、そのような指導者が出てくるのを楽しみにしていたいと思います。どうもありがとうございました。

(全文終了)

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