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第1回
根を張った経営で、初心継続を

第2回
10人の経営、1000人の経営

第3回
危機こそ成長の好機

第4回
最終的にはやはり哲学

第5回
H.I.S.を世界的な旅行会社に

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(3/全5回) 2001.02.23

【第3回 危機こそ成長の好機】
―― 10人から20人ぐらいを率いるリーダー像はわかりやすいと思うのです。つまり自分が先頭に立って、力強く率先垂範していく。しかし、強いリーダーであればあるほど、その次のステップに脱皮することが難しいような気がするのです。

澤田秀雄 そうなのです。というのは、自分で全部できてしまいますからね。会社が小さなときは、自分がいちばん優秀であればこそ発展するわけです。ところが、これが100人という単位になると任せていかなくてはいけない。

 それを、つい自分ができるからといって自分でやってしまったり、「なぜ自分ができるのにおまえができないんだ」と叱ってみたり……。優秀な人ほど、このステップを乗り越えることが難しいという逆説がありますね。

 一生懸命やってくれていることに感謝するとか、その人の能力をもっと上げてあげるといった、マネジメントをすべきなのですが。自分ができてしまうから、つい逆をやってしまう。結果的にその部下は自信をなくしてしまい、悪循環に陥ってしまう。自分がやったほうが早いという、その大きさから脱皮できないわけですね。

 特に優秀な社長ほど陥りやすいパラドックスで、ベンチャーを起業するほどの人はたいてい優秀なはずですから、注意しなければいけないと思います。

―― そこが第一段階の脱皮だと思うのですが、澤田さんの場合、どうやって脱皮することに成功されたのでしょうか。

澤田 当時は私も悩みましたよ。自分で何でもやったほうが早いから、つい厳しくしてしまう。そうすると厳しくされた人は、自信をなくして辞めてしまうんです。そういうことを自分で経験してみて、「あ、こういうことをしていたら、人が去るんだな」「会社が乱れるんだな」と気がつきました。

 1人ひとり個性も違えば能力も違うわけです。水泳のへたな人に泳げと言ってもだめですが、でも陸上をやらせたらうまいという場合がある。それなら自分にない能力は何なのか、もう一度考えてみました。

 すると、自分は細かいところが向いていないと気がついた。自分が経理をやるとおかしくなると思うのです(笑)。ということは、経理はしっかりした人にお願いしよう。それならこの人は営業には向いていないけれど、経理は向いてるというように、だんだん視野が広がってきました。

 よくいう適材適所ですね。その人の能力の適性をきちんと見つけて、その仕事をお願いする。そして自分ができないわけですから、感謝するということですね。逆に自分ができることは教えて、どんどん自分の能力を引き継いでもらい、任せていく。こういうことを失敗しながら学んできましたね。

―― それは社員が何人ぐらいの規模の頃だったのですか。

澤田 30人ぐらいまでは、私が走っていたらよかったのです。経理から営業まで、自分で全部目が届きますから。しかし、100人超えたぐらいでしょうか、ぐらっとしはじめたんですね。

―― 一瞬会社がちょっと停滞したようなときが、あるのですか?

澤田 そうなんです。人が辞めはじめたのです。それで、「あっ」と思った。考え直さなければ、と……。それまではルールがなかったんです。30人ぐらいでは自分がルールで済みますから、「疲れているみたいだから、1カ月ぐらい休めよ」とか、いい会社だったんです(笑)。

 しかし100人を超えると、身近にいる30人には、たとえば「疲れた顔をしているから、今日は早く帰れよ」などと気を遣ってあげられます。しかし身近にいない70人が不満を持ち始めたり、といった問題が出始めて、やはり最低限のルールが必要になってきました。

 その頃は、いろいろ反省させられることが生じた時期ですね。それで本を読んだり自分で考えたりして、徐々に突破してきたという感じです。できるだけ人に任せたり、マネジメントの方法を変えたりしたわけです。

―― いわゆるネット関連の会社で、一時よかったのに今うまくいっていないケースは、どうもその100人くらいの規模における経営者の脱皮がうまくいっていないのではと、個人的には思っているのですが……。

澤田 そのような面はあるでしょうね。業種や時代背景によって人数とマネジメントの関係は変わってきますから、一概に「何人のときは、こうせよ」とは言えませんが。

 先ほども申しましたように、10人20人のマネジメントは、リーダーがずば抜けて能力があればみんなついてきます。しかし100人を超えたぐらいから、経理は経理、営業は営業、企画は企画、開発は開発といったように、今度は本格的なマネジメントが必要になってきます。

 自分で何でもできる優秀な人ほど、その気持ちの切り替えが難しいというパラドックスがありますから、注意すべきでしょうね。

(第3回 終)

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